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雨の日に

小学校の昇降口は、「外に面した一段高くなったコンクリート部分」があり、その奥に「下駄箱」がありました。生徒は、コンクリート部には靴を脱いで上がるように指導されており、靴下になって歩いて、奥の下駄箱まで進むことになっていました。

私の通学班には、クラスでもそこそこ人気者の可愛い少女がいました。その彼女とは、同じ班ですので、毎朝一緒に登校していました。ただし、一緒とはいえ、私が副班長で、列の一番後ろに並び、彼女は班長なので、先頭を歩いているため、しゃべったりすることは、あまりありませんでした。

そして、ある雨の日。

昇降口の手前で、班は解散となり、三々五々、下駄箱に向かいます。

で、私もコンクリート部分で靴を脱ぎ、下駄箱へ向かいました。

雨が吹き込み、コンクリート部分の、外寄りの淵は、濡れていましたが、それでもだれもが、いつものように、ちゃんと靴を脱ぎ、濡れている部分を飛び越えるか、つま先立ちになって歩いて、下駄箱へと向かっていました

ですが、班長の彼女は違いました。彼女は、みんなが靴を脱いで上がっているコンクリート部分に、なんと靴のまま上がったのです。当然、雨の中を歩いてきたわけですので、文字通りの泥靴です。

そんな汚れた靴のまま、彼女はその他の生徒、みんなが靴下になって歩いているコンクリート部分を、堂々と通っていったのです。

しかも、そのまま、奥の下駄箱の前まで歩いていったのです。

たしかに、入り口付近は、雨が吹き込んで、濡れており、靴下が汚れてしまうので、靴のまま上がりたいという気持ちもわかります。(とはいえ、だれもが我慢して靴を脱いでいましたので、靴のまま上がった彼女はそれだけでもスゴイ)

ですが、昇降口の奥の、完全にキレイなままの、一切濡れていない下駄箱の前のスペースまで、靴のまま入っていって、下駄箱の前で、ようやく靴を脱いだのです。

当然、彼女の歩いたところには、点々と泥の混じった濡れた足跡がついていました。そして、その足跡は、次から次へとやってくる、下級生の白い靴下が消し去っていったのだと思います。

ということで、それを目撃して以来、雨の日が、なによりの楽しみとなったのは言うまでもありません。
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